冬の北アルプスと黒部川河口
極上素材の源は北アルプスと黒部川

 富山県黒部市は名水の里として全国に知られています。日本を代表する 川の一つ、「黒部川」は、北アルプス最奥地の鷲羽岳にその源を発し、日本 一のV字峡「黒部峡谷」・「宇奈月温泉」を流れ、肥沃な黒部川扇状地を作り出し、日本海ま での一気に駆け下ります。北アルプスの雪解け水は、地中に染み込み伏流 水となります。この伏流水がミネラルを含んで再び地表に姿を現したのが、 日本の名水百選にも選ばれている黒部川扇状地湧水群。さらに富山湾海底 へと続きます。 また、黒部川の全長80%は黒部峡谷を覆うように流れ、黒部峡谷の山々か ら自然の栄養分をいっぱい吸収して清らかな名水となります。

黒部川の水
磨かれた水は扇状地から富山湾へと

 黒部川に架かる愛本橋より約13.5km下流域では、日本でも有数の広さを 誇る黒部川扇状地が広がります。黒部川は年間を通して水量が豊富。名水 と肥沃な大地の恩恵を受けて、富山県でも有数の米の産地でもあります。 コシヒカリ「黒部米」は、お米として全国で最初に「地域団体商標地域ブラ ンドに認定されました。  扇状地でを通った名水は富山湾へと。富山湾の地形は特徴的で、沿岸に は浅瀬が殆ど無く、急勾配で海底へ落ち込んでいます。  湾の大部分は水深300メートル以上で最深部は1,000メートルを超えます。 また黒部川下流域の富山湾海底は、世界でも有数の水量を誇る海底湧水 群があり、魚介類に豊富な淡水系ミネラルを与えているのです。水深300 メートル以上ではミネラル成分と酸素を多量に含む日本海固有水海洋深 層水)が無尽蔵にあります。黒部川の名水は富山湾の豊富な魚介類を育む 源の一つなのです。

黒部川扇状地と富山湾

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寒ブリ 冬の富山湾は、極上ブリの天然生け簀

 山の栄養分が流れ込む富山湾は日本国内でも有数の漁場です。 能登半島沖からは暖流である対馬海流が、北の海域からは冷たい寒流が 富山湾内でぶつかり合います。起伏が激しい海底、複雑にぶつかり合う海流、ミネラルを含んだ清水により富山湾には魚のエサとなるプランクトンが 多く発生し、絶好の漁場となるのです。12月、「ブリ起こし」と呼ばれる初冬の雷は、北の海から富山湾内に入ってきた天然ブリの豊漁の合図。 一度富山湾内に入ってきたブリ達は、湾内の海流に乗って回り続けます。まさしく天然の寒ブリが捕れる生け簀となっているのです。美容と健康に良い栄養価が非常に高く、DHAEPAの宝庫と言われるブリ。湾内のブリは身が引き締まり、上質な脂がのり、旨みが凝縮され、栄養価がピークに達します。

早朝3時にきときとのブリが水揚げ 富山湾のブリはなぜ美味しいか

 富山湾の寒ブリが美味しい秘密はまだあります。世界が注目する漁法「定置網漁法」の存在。 富山湾で400年前から行われてきており、現在でも富山湾の総漁獲量の約7割がこの漁法によるものです。富山湾の定置網は、2~4km沖合、水深10~100mの海中に施設され、毎日定時に3~4隻の漁船で30分~1時間かけて網を起こします。大きなものでは網の長さ600m、幅が90~105mにも達し ます。魚を誘導する網、入った魚が回遊する溜まり場の網、魚を獲りあげる網、入りすぎた魚を網に残す網など、それぞれの機能を持った各網が巧妙に組み合わせてあります。一網打尽の網とは異なり、「魚をなるべく傷つけ ず、生きたまま水揚げできる」よう工夫がなされています。まさに先人の知恵と情熱が創り上げた「旨さを保つ」漁法なのです。

ブリしゃぶとブリの照り焼き ブリを食べすしてブリを語らず

 富山湾で獲れるブリは、古くから「越中ブリ」と呼ばれ、現在も最高級ブリ の代名詞となっています。 かつて、富山湾で獲れたブリは塩で加工され、 山間部を越え、新潟県糸魚川飛騨高山を経由(「ブリ街道」:現在の国道41号線)し、遠く信州の山里にまで 運ばれました。 またブリは、出世魚の代表格。富山県では、「ツバイソ」「フクラ ギ」「ハマチ」「ガンド」などと、「ブリ」になるまでに呼び名が変わります。富山県の一部地域には、娘が嫁入りした年の暮れに実家から嫁ぎ先にブリを贈る 風習があります。これは嫁いだ娘への思いやりであるばかりでなく、ブリにあやかった、娘婿の出世を願う親の気持ちも・・・・・。マグロのトロより上品な脂身と奥深いキレのある旨みを堪能できるお刺身。 天然寒ブリの旨みと香りが口いっぱいに広がり、いくらでも食べられそうな「ブリしゃぶ」。ブリの旨みがぎゅっと凝縮された「ブリ大根」。火を通した脂身から出る芳醇な香りも楽しめる「照り焼き」や「カマの 塩焼き」。内臓を使った通好みの「煮なます」など、いずれも絶品ばかりです。

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山からの名水で育つ紅ズワイガニ

 海の上層部でブリが獲れる頃、海の底からは旬の紅ズワイガニも水揚げ される海の幸豊富な富山湾。特に地元生地漁港(黒部漁港)の水揚げは、 県内一を誇り、漁港沖合で獲れるカニの味は格別。黒部川扇状地の先端 に位置する生地地区は、北アルプスから流れ出る名水が清水(しょうず)と なって豊富に湧き出る地。この伏流水が沖合まで達し、世界有数の水量を 誇る海底湧水群となって、極上の紅ズワイガニを育てるのです。まさに山から 届く淡水系のミネラルを含んだ、山と海の旨さの結晶。 また、港から漁場までの距離が短いため、日帰りか一泊の漁が可能。鮮度が命と言われる紅ズワイガニ。この地の利も紅ズワイガニの旨さ秘訣なのです。

紅ズワイガニ
生地の歴史と秘密に想いをはせる

 極上紅ズワイガニが獲れる生地がかつて新治村と呼ばれていた頃、越之湖という大きな湖があった と伝えられています。新治神社で発見された2枚の絵図にははっきりと越 之湖の姿が描かれています。大きな帆船も出入りしたという天然の漁港だ った越之湖。幅800m、周囲10km、深さ6mもの湖がなぜ消えたのか・・・・。  1327年、黒部川片貝川の大洪水によって越之湖が泥土に埋まりました。 その後の洪水や人口増加に伴って越之湖は開拓され、かつて湖だった 大部分は地下に埋もれてしまいました。新治村が「生地村」となったのは 津波のあと。「人々が生まれた土地に帰る」とともに、「新しい土地が生ま れた」という意味を込めて改称されました。その後生地は漁師町として栄え 、詩人田中冬二は、詩「ふるさとにて」で「ほしがれひをやく にほひが する ふるさとの さびしいひるめし時だ」と、町の素朴さを書いています。

入出船時に回旋する生地中橋
紅ズワイガニとズワイガニを知る

 紅ズワイガニとズワイガニの違いをちょっとおさらい。 ズワイガニは、日本海の大陸棚(水深約200~600m)に生息。冬場が漁期。一般的には底引き網で漁を行います。特徴は、身が詰まっていて食べ応えがあります。松葉ガニや越前ガニがこれにあたります。一方、紅ズワイガニは、日本海深海(水深約500~2700m)に生息し、秋~春が漁期。一般的にはカニかごを使った漁法で漁を行います。特徴として、グリシンアラニンといった甘み成分や、旨みを増幅させるアルギニンが多く、食感も繊細。 特に 生地漁港沖で獲れる紅ズワイガニは、風味・鮮度ともに抜群。知る人ぞ知るカニのプリンセス的存在。定番の茹でガニは、生地の紅ズワイガニでしか味わえない、ジューシーな旨みと甘みを口の中いっぱいに楽しめます。カニ鍋はカニの旨みが他の具材にも染みわたり、富山湾の風味を堪能させてくれるでしょう。さらに、クセが無く上品なコクのあるミソは、お酒の肴として格別。焼きガニをはじめカニ雑炊やカニ釜飯など、いずれも素材の旨さが引き立ちます。 生地漁港沖合いで獲れる紅ズワイガニは、ほとんどが県内で消費される と言われている限定食材。この冬は是非現地で味わって下さい!

生地漁港のセリとカニみそカニ鍋

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深層水あわび もう一つの名水で育つあわびの極み

 海洋深層水という耳慣れない水で、丁寧に養殖されたあわびをご存じで しょうか。生地と黒部川を挟んで対岸に位置する入善漁港で、入善漁業協 同組合が平成14年から養殖を開始した「深層水あわび」。平成20年現在、 海洋深層水を使ったあわびの養殖は、全国では入善を含めて二箇所のみ。 この貴重なあわびは、天然物に比べて甘みが強く、柔らかいのが特徴。一般的なあわびよりも小粒な分、グルタミン酸などの旨み成分と甘みが凝縮され、食通もうなる味。 富山湾の水深384mから引く海洋深層水は、陸水や大気の汚染をほとんど受けておらず、植物などの成長に必要な無機栄養塩類や天然ミネラルが豊富に含まれているため、旨みが引き出されるのです。 年間3万個出荷されるあわびの殆どが、その日必要な分だけ出荷。新鮮そのものを味わえるのです。

深層水あわびと生産者 試行錯誤の末に創り出した海の宝石

 施設では入善沖の水深384mからくみ上げた水温5度程度の深層水を、 16度~18度まで加温して一定温度に保ち、3トンの水槽40基で養殖。3~ 5cmの稚貝を1~1年半かけて7、8センチの大きさに育てています。あわびの動きは鈍く、体調の変化を見極めるのが難しいため、養殖開始当初は、 まさに手探り状態だったとのこと。養殖1年目は順調に育つも、2年目に成長不良に。町や県等と連携しながら原因を究明。その努力が実り、体を傷つけない独自の飼育方法を編み出したのです。手の掛けすぎもよくないことが分かり、年々品質が向上。年間を通して安定生産できるまでになってきました。

深層水あわびの料理 舌の上で感じる幸せを名水の里で

 深層水あわびの魅力をあらためて。肉厚でやわらかな食感、上品な甘み・濃厚な旨み・あわび特有の磯の香りを兼ね備えた深層水あわび。美容に良いと言われるコラーゲン特有のコリコリした食感を楽しめるお刺身。少しレアな状態を残す程度で火を通し、溶けたコラーゲンがゼラチン質になった柔らかな食感を味わえるバター焼きは、シンプルな味付けで。深層水で育てられたあわびだからこそ持つ豊潤な香りと繊細なコクが、あなたの味覚・嗅覚・触覚を楽しませてくれます。さらに、「ウロ」と呼ばれる肝の部分は、このあわびでしか味わえない絶品素材。料理の新たな可能性を感じさせてくれます。あわびそのものが清浄な海洋深層水で育てられ、また砂もかんでいないので、肝もお刺身で美味しく安心して食べられるのです。 富山湾の海洋深層水と、生産者の方々の熱意が産みだした最高の食材を、黒部・宇奈月温泉で是非味わってみて下さい。

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